骨盤が開くとは?

骨盤が開くとは?

美容系情報誌やTV番組などで骨盤が開くと体への悪影響として

・猫背になる。
・下腹部が出る。
・内臓下垂が起こる。
・むくむ。
・脚の骨格が歪む。
・腰痛になる。

ということをよく目にします。

その骨盤が開くとは、骨盤がどうなっているのでしょうか?

図:矯正前

施術前後のビフォーアフター画像は、コチラ

また、骨盤が開いているだけで体に悪いという訳ではありません。

個人の骨格の構造や筋肉バランスにより、骨盤が開いている人もいます。

そういう人が全て不健康である訳ではありません。

体に悪く作用する場合は、運動不足や筋疲労による足腰の筋力が衰えた場合に上記のような悪影響が出るリスクが高まるものです。

上記悪影響が出る理由は、「反り腰は体に悪いのか?」の記事で書いています。

・反り腰は体に悪いのか?の記事は、コチラ。

以下の記事は、骨盤が開く事での骨格の変化やなぜ開くのか?について書いています。

また、骨盤を閉めるエクササイズを知りたい方は、骨盤の開きを抑えるエクササイズの記事をお読みください。

ただ、どうしてそのエクササイズが必要ななのか知らないと運動を継続しにくくなりますので、以下の読むことを薦めます。

骨盤が開くとは?

骨盤が開くとは、以下の①と②が連動して起こります。

①寛骨の観音開き。
②坐骨間が広がる。

そして、①、②とは別な開き方をする

③仙骨落下による寛骨の開き。

もあります。

これは筋力の低下が大きいと起こりやすくなります。

※以下の説明では傾向にあるとか、まどろっこしい表現がありますが、これは個人の骨の変形やねじれがあった場合、その影響で真逆のことが起こることもある為です。

①寛骨の観音開き

骨盤は体を正面から見た場合に、図1のような形をしています。

骨盤を正面から見た図
図1:骨盤

寛骨とは、中央の仙骨を挟む2枚の骨です。

その骨盤を頭の方から見ると図2のような形をしています。

図2骨盤の開き

寛骨の広がり方は、観音開きのドアのような開き方をします。

このような開き方をする原因は、仙骨や寛骨の前傾や腰椎の過前弯にあります。

その要因は、以下のものがあります。

・腹筋群の筋力低下。
・腹圧の低下。
・筋バランスの違い。
・脚の骨の変形による代償作用。
・妊娠から出産にかけての生理作用。

また、骨盤が開くと恥骨結合にも同じく開くような力が加わる為に恥骨部(図5参照)に痛みが出ることがあります。

骨盤の観音開きを抑える筋肉

骨盤の観音開きを抑える筋肉は、骨盤に付着している腹筋で、以下の4つの筋肉です。

外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋、腹横筋。(図3、4、5参照)

腹筋というとシックスパックの部分である腹直筋をイメージしますが、実は4種類あります。

外腹斜筋の位置
図3:外腹斜筋
内腹斜筋と腹直筋の位置
図4:内腹斜筋・腹直筋
図5:腹横筋

これらの筋肉の筋線維のラインは、腹直筋を除き斜め横になっており骨盤に付着しています。

これら腹筋群の筋肉が活発だと骨盤の観音開きを閉じるような力が働き、弱化すると開きやすくなります。

また腹直筋の筋線維は縦方向です。

この筋肉が、活発であればポッコリお腹を押さえて仙骨の前傾を予防できる筋肉です。

これらの腹筋はすべて腹圧を高める働きと姿勢維持の役割があります。

この腹筋群が活発になり腹圧が高ければ骨盤の開きの予防に繋がります。

腹筋群と腹圧や姿勢維持について、コチラで詳しく説明してます。

②座骨間の広がり

骨盤や仙骨の前傾が起こると寛骨の開きに加えて、両坐骨間の距離も長くります。(図6参照)

またそれにより両股関節間の距離も拡大します。

骨盤の開きは、両ASIS間、座骨間、股関節間を拡大させる。
図6:骨場の開きによる作用。

つまり、実際に骨盤の開きを確認するには、以下の部分に触れて確認します。

・寛骨の外側縁や両ASIS間の距離。
・両大転子の距離。
・仙骨や骨盤の傾き。

ASISとは、骨盤の両翼にあり、正面に飛び出ています。(図7、図8参照)

図7:骨盤のASIS

骨には、筋肉の付着部位や皮膚の上から触診できる部分などに名前がつけられています。

骨盤の説明をする際には、ASIS、PSIS、座骨、仙骨、寛骨がよく使われます。

図8:骨盤と大腿骨の部位名称や位置

補足ですが、両股関節間が開けば両膝の間も開くことになります。

そうなればX脚やO脚になりやすく、膝関節の障害が発生するリスクが高まります。

座骨間の広がりを抑える筋肉

座骨間の広がりを抑えきれる筋肉は、体の中心(腰椎、仙骨)と大腿骨を結ぶ筋肉になります。

その筋肉は、以下の3つの筋肉です。

・大殿筋(仙骨後面と大転子に付着)
・梨状筋(仙骨前面と大転子に付着)
・大腰筋(腰椎と小転子に付着)

大殿筋

大殿筋は主に股関節の伸展と外転で働く筋肉です。(図9参照)

大殿筋の位置
図9:大殿筋

付着部位は、寛骨、仙骨、大転子です。

大転子は、股関節の横にある大腿骨の飛び出た部分です。(図8参照)

歩行や走行時に股関節を伸展させて体を前に進ませます。

仙骨と大腿骨の間には寛骨があり、この筋肉が収縮することで座骨の広がりを抑える力が働きます、。

大殿筋は、大きく力強い筋肉です。

補足:大殿筋弱化は腰痛に繋がる。

補足ですが、この筋肉が弱化すると股関節の伸展角度が減り、その代償を腰椎の後屈や骨盤の前傾で補うことになります。

整体で腰が痛いという人は、股関節の伸展機能の低下している人がとても多いです。

股関節伸展運動の自己チェック

床にうつ伏せになり、膝を伸ばしたまま、股関節を伸展させます。

股関節の伸展させる動きは、この場合だと踵を天井に近づける動きです。

何も意識せずにこの動きを行うと腰椎と骨盤の動きも加わり、骨盤を浮かせてしまいます。(動画参照)

腰椎の代償を減らすには、骨盤のASIS(下図参照)に指を入れ、指の圧迫が抜けないようにします。

骨盤のASIS

骨盤の代償を減らすには、仙腸関節(図10参照)に背部から腹部に圧を加えて動きを制限させます。(動画参照)

図10:骨盤の仙腸関節。

※仙腸関節の圧迫が弱い事と押圧ポイントがズレは、骨盤の代償が残ります。

腰痛と股関節伸展機能低下について、コチラで説明しています。

腰痛と関係する筋肉は、コチラで説明しています。

梨状筋

梨状筋は、主に股関節の外旋時に働く筋肉ですが、股関節が屈曲している時は股関節の外転の働きもあります。

その梨状筋が付着する場所は、仙骨前面と大腿骨の大転子です。(図11参照)

梨状筋の位置
図11:梨状筋

付着部は仙骨と大転子である為、大殿筋と同じような働きによりり、梨状筋が収縮する事で仙骨の落ち込みを防止できる筋肉です。

また梨状筋のように骨盤と大腿骨に付着する筋肉(閉鎖筋や双子筋など)は、大腿骨を骨盤に引き寄せる力が働かせ、股関節の屈曲や伸展時の力が発揮しやすくさせています。

そのような働きがある為、股関節の屈曲や伸展する筋肉が弱くなると、これらの筋肉が過剰に働き疲労させ硬くなっていきます。

補足:梨状筋と座骨神経痛

補足ですが、この梨状筋の筋線維の間から座骨神経(図12参照)が通過する人がいます。

座骨神経の位置
図12:座骨神経

この筋肉が疲労で硬くなると座骨神経を圧迫し、臀部や下肢の痛みやしびれが出やすくなります。

運動不足の方や高齢の方に多いですが筋肉が細くなれば筋疲労しやすくなり、このような症状がでやすくなります。

整体は、骨格を正すだけではなく、筋肉の疲労も改善させることができる施術です。

大腰筋

大腰筋の働きは、主に股関節の屈曲、体幹の姿勢保持です。

大腰筋の付着部位は腰椎と小転子(図13参照)です。

腸腰筋のトリガーポイントによる放散痛位置
図13:腸骨筋

筋線維の方向を考えるとこの筋肉が収縮する事で両座骨部を体の中心に引き寄せ、骨盤を閉める力が働きます。

③仙骨落下による寛骨の広がり

背骨は仙骨の上に載っており、仙骨には上半身の重さが載りやすい状態です。(図14、15参照)

図14:骨盤の開きと仙骨の楔による影響。
図15:骨盤の開きと仙骨の楔による影響②。

この骨格を見みると上半身の重みで寛骨の間から仙骨が下に落ちてしまいそうです。(図14右下参考)

ですが実際は、仙骨と寛骨の動きを制限する靭帯と骨盤に付着する筋肉が働いて、仙骨の落ち込みを防いでいます。(図16参照)

図16:寛骨と仙骨の動きを制限する骨盤の靭帯。

またそれは筋肉の弱化や靭帯が緩めば仙骨は下に落ちやすくなると言えます。

骨盤の靭帯が緩む理由は、コチラの記事で書いています。

仙骨の落下を防ぐ筋肉

仙骨の落下を防ぐ筋肉として働く筋肉は、以下の2パターンが考えられます。

・仙骨を両側の寛骨で圧迫する筋肉。
・仙骨を頭方に引き上げる筋肉。

仙骨の両側を圧迫する筋肉

仙骨を両側から圧迫し仙骨の落下を防げる筋肉は2つあります。

梨状筋と大殿筋です。

これらの筋肉は、仙骨と大腿骨の大転子(太ももの骨)に付着する筋肉です。

仙骨と大腿骨の間には、寛骨があり、これらの筋肉が収縮する事で寛骨の両側から圧迫を加え仙骨の落下を防止できる筋肉です。

梨状筋

梨状筋は、主に股関節の外旋時に働く筋肉ですが、股関節が屈曲している時は股関節の外転の働きもあります。

その梨状筋が付着する場所は、仙骨前面と大腿骨の大転子です。(図17参照)

梨状筋の位置
図17:梨状筋

大転子は、股関節の横にある大腿骨の飛び出た部分です。(図8参照)

仙骨と大転子の間には、寛骨があり、梨状筋が収縮する事で仙骨の落ち込みを防止できる筋肉です。

補足ですが、この梨状筋の筋線維の間から座骨神経(図18参照)が通過する人がいます。

座骨神経の位置
図18:座骨神経

この筋肉が疲労で硬くなると座骨神経を圧迫し、臀部や下肢の痛みやしびれが出やすくなります。

運動不足の方や高齢の方に多いですが筋肉が細くなれば筋疲労しやすくなり、このような症状がでやすくなります。

整体は、骨格を正すだけではなく、筋肉の疲労も改善させることができる施術です。

大殿筋

大殿筋は主に股関節の伸展と外転で働く筋肉です。(図19参照)

大殿筋の位置
図19:大殿筋

付着部位は、寛骨、仙骨、大転子です。

梨状筋と同じく寛骨の両側から圧迫を加え仙骨の落下を防ぐことが出来る筋肉です。

大殿筋は、梨状筋よりも大きく力強い筋肉です。

また、歩行時にはこの筋肉の働きで股関節を伸展させて、体を前に進ませる事ができます。

補足ですが、この筋肉が弱化すると伸展角度が減り、その代償を腰椎の後屈や骨盤の前傾で補うことになります。

整体で腰が痛いという人は、股関節の伸展機能の低下している人がとても多いです。

腰痛と関係する筋肉は、コチラで説明しています。

広背筋

広背筋という筋肉は、上腕骨と仙骨、寛骨、背骨などに付着する筋肉です。

働きは、腕の伸展、内転、内旋です。

広背筋は、綱引きや懸垂をするような腕を後ろに引く動作で働く筋肉です。

この筋肉は仙骨に付着する部分があるので仙骨の落下を防ぐ筋肉として働くようにも思えます。

そのようなトレーニングをすると多少効果があるかもしれません。

仙骨に付着する筋肉

仙骨に付着する筋肉に腰腸肋筋、胸最長筋、多裂筋があります。(図20、21、22、23参照)

脊柱起立筋の位置
図20:脊柱起立筋
多裂筋の位置
図21:多裂筋

これらの筋線維の走行ラインは骨盤や腰部では垂直方向に走っており、収縮することで仙骨を頭方向に向けて引き上げる効果があると考えられます。

図22:脊柱起立筋(腰部)
図23:多裂筋(腰部)

脊柱起立筋と多裂筋は、立位や座位での姿勢維持に働く筋肉です。

普段の生活で活動的に動いていれば使用される筋肉ですが、座椅子やソファーに背中を預けるような姿勢だと働きが弱くなります。

筋肉の働きで骨盤が開く

筋肉の作用で骨盤を開かせようとする働きは、以下の3パターンです。

①筋肉の弱化によるもの。
②骨盤を前傾、後傾させる筋肉の筋バランスによるもの。
③間接的な働きによるもの。

①筋肉の弱化によるもの。

骨盤の開きを予防している筋肉の弱化が骨盤を開かせてしまいます。

それは、以下の筋肉です。

外腹斜筋、腹横筋、大殿筋、梨状筋、大腰筋、広背筋、脊柱起立筋、多裂筋。

つまり、これらの筋肉を鍛える事で骨盤の開きを予防できます。

これらの筋肉を適度に鍛える為には、股関節の屈曲が少ないスロージョギングを薦めます。

スロージョギングを薦める訳は、大腿直筋の働きを抑え、殿筋やハムストを強化できる為です。

ウォーキングでは、殿筋やハムストへの刺激が弱いです。

②筋バランスによる影響

骨盤の開閉は、骨盤が前傾すれば開き、後傾すれば閉じる傾向にあります。

つまり、前傾させる筋肉が後傾させる筋肉より強く働いていると骨盤は開く傾向にあります。

骨盤が開きが気になる場合には、骨盤を後傾させる筋肉の筋トレを薦めますが、前傾させる筋肉まで鍛えないようにすることも大切です。

骨盤を後傾させる筋肉

ハムストリングス(太ももの後ろの筋肉)、大殿筋(お尻の筋肉)。

筋トレ

筋肉をつけるには、運動だけではなくタンパク質やBCAA(アミノ酸の種類)が必要です。

①うつ伏せで膝を伸ばしたままバックキック。

②仰向けでヒップリフト。

③ロシアンハムストリングス:膝立ちから体幹を前傾。足首の固定が必要。

骨盤を前傾させる筋肉

大腿直筋(太ももの前にある筋肉)、縫工筋。

③間接的な働きによるもの

間接的な働きによる骨盤を開きは、以下のものがあります。

・腰部の脊柱起立筋が強いまたは収縮傾向。
・腹筋(腹圧)が弱い。
・大腰筋が強いまたは収縮傾向。

腰部の脊柱起立筋が強いか、疲労で収縮傾向にあると腰椎の反りを強くし、仙骨(骨盤)が前傾する為に骨盤が開く傾向にあります。

腹筋が弱いと腹筋の中にある臓器が前方でてポッコリお腹になり、その影響で腰椎の反りが強くなり骨盤が前傾し骨盤を開かせる傾向にあります。

大腰筋は腰椎の前方に付着している為にこの筋肉が強いか疲労で収縮傾向にあると腰の反りが強くなり、骨盤を開く傾向にあります。

最後に

骨盤の開きは、生まれ持った体質による影響が大きく、1度整体を受ければ元に戻らないというものではありません。

整体を行っても、開きを抑える筋肉が弱化していれば、元に戻っていきます。

その為、骨盤を閉め続けるには、以下のどちらか、まはた両方が必要です。

・定期的にる整体に通う。
・骨盤を開きを抑える筋肉を鍛える。

また、その原因が筋肉の弱化だけではなく骨の変形も関係している場合、改善できない場合もあります。

定期的に通う頻度は、その人の筋力にもより月1でよい人もいれば、毎週通う必要がある人もいます。

また、女性の場合には月経周期と女性ホルモンの影響を受けて骨盤が開く方がいますが、整体を受けてもその反応をなくすことはできません。

月経による骨盤の開きは、月経が起こって2~3日経ってから7~10日程続くと言われています。

また、骨盤を閉める筋肉が活発であれば、開きによる悪影響を抑える事ができます。

骨盤関連の記事

他にも骨盤関連の記事を書いています。

骨盤の前傾・後傾とは?、筋バランスの違いはコチラ

骨盤が立っているとは、コチラで説明しています。

腹筋群の筋力低下や腹圧の低下は、コチラで説明しています。

妊娠から出産にかけての生理作用(美容サイトの方にある。)

反り腰は、体に悪いのか?は、コチラ。

下半身のむくみは、コチラ。

整体を受けると痩せるのか?は、コチラ。

骨盤の歪みや姿勢を自己チェックは、コチラ。

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました