筋肉の凝りや張りとは

猫背の説明資料 腰痛、肩こり

コリと張りの違い。

※整体を行っている人で、このニュアンスは少し違うかもしれません。

ハリとは

私が施術中に言う「張り」という言葉は、

主に皮膚の張りです。

この皮膚の張りは、筋疲労による筋収縮と血流の増加が重なり起こります。

そして、患部を触診した際の張りの強さや熱感は、損傷度合いの見極めになります。

血流増で感じる張り

身体を動かすには筋肉の働きが必要ですが、筋肉を動かすにはエネルギーが必要です。

そのエネルギーを筋肉に送る為に血液が送られます。

通常、筋肉に送られた血液は、心臓に戻っていきますが、運動が長く続いたり、負荷が強く筋肉の収縮が強いと筋肉は硬くなり、緩みにくくなります。

血管は、筋肉の間を通る為、筋肉が硬いと血液の流れをさまたげ血液の一部がとどまります。

そして皮膚の下で血液が留まるほど、皮膚の張りは強くなります。

この作用は風船に水をいれて風船の張りが強くなるのと似ています。

この場合、風船が皮膚で、水が血液です。

筋肉の張りと水風船
図1:水風船と筋肉の張り

もう少しわかりやすく図2で説明します。

筋肉の張りとは
図2:筋肉のハリとは

図2左は緩んでいる筋肉、図2右はハリのある筋肉です。

右図は左図に比べて皮膚の下で血液量、筋肉が太い為に全体的に太くなり皮膚に張りが生じます。

また、この皮膚の張りは、筋疲労だけで起こるのではなく、怪我や故障によってさらに強く表れます。

炎症

打撲、捻挫、骨折、感染などが起きると患部に炎症が起きます。

炎症とは、発熱、発赤、腫脹で、患部を治そうとして起こります。

また、損傷が強いほど痛みも強く感じます。

この際の発熱は、損傷組織に集まったマクロファージや白血球が発熱物質を出すことで起きています。

また、故障以外にも筋肉が酷使され続けることで筋膜炎を起こすこともあります。

筋膜とは、筋肉を包む膜のことです。

この筋膜炎は、筋肉の使い過ぎによって筋膜が水分を失って硬くなる為に起こると言われています。

筋収縮で感じる張り

さきほど、運動を続けていると筋肉が硬くなると書きましたが、それは正確には筋線維が収縮したまま、元に戻りずらくなるという事です。

筋肉の収縮と言われても、知っている人は少ないと思いますので説明します。

筋肉は、筋原線維と呼ばれるものの集合体です。

その筋原線維は、図3のようにミオシンとアクチンというタンパク質でできた線維でできています。

筋収縮時のミオシンとアクチン
図3:筋収縮(アクチンとミオシンの関係)

通常、筋肉に負荷がかからなければ筋肉は弛緩していますが、この時、ミオシンとアクチンは離れた状態にあります。(図2上)

そして、筋肉に負荷がかかり収縮する場合は、アクチンの線維の中にミオシンが入り込む為に筋肉は短く太くなります。

よく見聞きする例では、上腕二頭筋の力こぶ(図4)があります。

力こぶ
図4:力こぶ

上腕二頭筋という筋肉は肩から肘関節付近にかけて付着する筋肉です。

その筋肉が収縮し短く太くなると力こぶが発生し、触れると硬くなっています。

先ほど説明した血流増とこの筋肉の硬さが合わさった時に皮膚の張りを感じます。

お客様が施術者に身体の状態を説明されて、わかりにくい事はここでの筋肉の硬さだと思います。

ここで表現した筋肉の硬さとは、筋肉のコリとは違います。

コリと張りの違いを簡単に説明すると、部分的と全体的の違いがあります。

コリは、筋肉が局所的に収縮(硬くなっている)している事を言います。

むくみ

話が脱線しますが、むくみとは血液の一部が皮膚の下で停滞した状態をいいます。

筋肉の張りでは、筋肉の硬さがありますが、むくみでは筋肉の硬さはありません。

むくみは、コチラ(当院別サイト)で詳しく書いています。

コリとは

コリとは、筋肉の一部が収縮した状態が続いていることを言います。

筋肉は、伸び縮みするゴムによく例えられます。

コリもなく、ハリもない状態の筋肉は、ゴムが伸びていない状態と似ています。(図5)

筋肉とゴム
図5:筋肉とゴム

筋肉のコリは、輪ゴムを結んだだけの状態と言えます。(図6)

筋肉のコリとゴム
図6:筋肉のコリとゴム

この筋肉のコリは、筋肉の疲労から起こります。

また、コリが強くなるほど痛みを感じる傾向にあります。

ただし、人によってはコリがあっても痛みを感じていない人もいます。

その疲労は、運動や仕事で蓄積する肉体疲労以外に姿勢不良での歪みを補正する為の平衡維持機能が働く場合も疲労してしまいます。

姿勢不良の影響

これは、姿勢が悪いほど影響を受けます。

例えば、床に座る姿勢であぐら(図7)がありますが、この姿勢で脱力すると腰を中心にして体がくの字に曲がります。

姿勢不良:あぐら
図7:あぐら

つまり、このあぐらの姿勢を維持する為に主に背中側にある頸、背中、腰の筋肉が使われています。

この姿勢に限らず、起きている間は筋肉に負担がかかっています。

わかりやすく他の例をあげます。

人の重心は、骨盤あたりにありますが、その骨盤より頭が遠い位置にあるほど筋肉の負担は大きくなります。

例えば、1mの棒の先にボーリングの玉を引っつけて地面と垂直に棒を地面に立て、それを支えるお仕事を頼まれました。

この棒が垂直で維持している限り、ボールが多少重くても苦になりませんが、図8右のように棒が傾くと地獄です。

猫背による筋疲労
図8:猫背による筋疲労

このような感じで頭の位置が体の中心から遠くなるほど筋疲労を起こし、それが長期化するほどコリは作られてしまいます。

その他、コリに影響を及ぼす悪い姿勢は、コチラ。

コリで痛みを感じる理由

コリで痛みを感じる理由は、コリを生じている筋肉が

・さらに収縮することでの痛み。
・コリが伸ばされることでの痛み。

があります。

このようなコリは、横になって眠る姿勢をとると痛みがありません。

睡眠姿勢では、筋肉は弛緩し筋肉の収縮や伸張はほぼないからです。

ただし、コリが強かったり、痛覚過敏になっていると睡眠中に寝返りする度に痛みで目が覚めることもあります。

また、ストレス(疲労)が重なると痛みの閾値が下がっていて痛みを感じやすい体質になると痛みを感じやすくなります。

痛みの閾値は、コチラに書いています。

収縮痛

コリとは、筋肉が部分的に収縮し元に戻らない状態で、輪ゴムを結んだだけの状態でした。

ですが、その状態からさらに収縮が働くにつれて痛みが出やすくなります。

収縮が働くとは、筋肉が働く事ですが、日常生活では姿勢不良や作業、運動などがそれに当たります。

例えば、ティッシュぺーパーを図9のように絞ります。

筋肉のコリと絞ったティッシュ
図9:筋肉のコリと絞ったティッシュ

そして、さらに絞るとティッシュは破れていき、最終的にちぎれてしまいます。(図10)

筋肉のコリと破れたティッシュ
図10:筋肉のコリと壊れたティッシュ

筋肉は、このティッシュのようにどこまでも収縮できる訳ではありません。

私たちの体はその危険を知らせる為に痛みを感じるようになっています。

伸張痛

通常筋肉は、ストレッチされると収縮が緩んで伸ばされます。

ですが、コリが発生している部分はストレッチされても伸びにくい状態になっています。

その為、コリのある部分が炎症を起こしていた場合、無理に伸ばされると痛みを感じてしまいます。

コリが伸張されるとは、図11のように輪ゴムを結んだ状態から伸ばされることです。

筋肉のコリと伸張
図11:筋肉のコリと伸張

このような状態でも炎症まで発展していないコリであれば、痛みはまだ感じないかもしれません。

ですが、コリが強すぎたり、伸長が強すぎれば痛みを感じいます。

例えば、コリはティッシュを結んだ状態だと言いましたが、結んだ状態から両横に引っ張り、それを強めると、どうなるでしょうか?

「壊れそう」

ですよね。

コリの部分が伸張されると、このようになり損傷する危険がある為、痛みを発して私たちに危険を知らせます。

また、コリが炎症まで発展している場合は、刺激が弱くても痛みを感じます。

炎症とは筋組織に傷がついた状態なのですが、傷がついているものを無理に伸ばせば、さらに痛みは強くなります。

肉離れ

肉離れとは筋線維や筋線維を包む筋膜が損傷または、切れる障害です。

先ほど説明したような強い刺激が筋肉に加わった際に、それに耐えられず起こることがあります。

ギックリ腰

ギックリ腰は、腰椎に付着する筋肉が肉離れを起こした時にそう呼びますが、ギックリ腰の原因は、肉離れだけではありません。

腰周りの組織全般を急に傷めた時に呼ばれる総称です。

例:椎間板、神経、骨膜、関節包、靭帯などの損傷も含まれます。

コリが作られる理由

※コリができる根本的な原因については、コチラで詳しく書いてあります。

ここでは簡単に説明します。

このコリが作られる理由は、

・筋弛緩不全。
・防御性収縮。
・平衡維持の為の筋収縮。

があります。

筋弛緩不全

筋弛緩不全とは、筋肉が緩みにくくなるというものです。

筋肉が緩むには、筋肉を緩めるための伝達物質が筋肉に届く必要があります。

そして、なんらかの理由でその物質が届きにくくなると筋肉は硬くなってしまいます。

参考:関節可動域制限治療を考える(外部サイト)

栄養が届きにくくなる理由

筋肉への栄養や老廃物の運搬を行っている血管やリンパ管は、筋肉の間を通ります。

筋肉が使用されて収縮すると筋肉は硬く太くなりますが、それが長く続くとそれだけ循環が妨げられます。

防御性収縮

防御性収縮とは、痛みをだす動きを止めようとする、無意識におこる筋肉の収縮です。

過去に筋肉や関節の故障をした際の痛みの恐怖を脳が覚えてしまう事があります。

その故障した際の動きや、その筋肉が使われると辛かった為、その動きをしようとした時に無意識にその動きを止めようとし、筋肉に力が入ってしまいます。

それが姿勢維持をする筋肉の場合、眠る姿勢以外はこの作用が働き、さらに筋肉を疲労させてしまいます。

平衡維持の為の筋収縮

人は立位や座位で両目を開いている間は、両目を水平に保とうとします。

これは平衡感覚を得るための働きによる作用です。

平衡感覚を得る情報はこれだけではありませんが、それを失うと嘔吐中枢が刺激されたり、めまいが起きやすくなります。

つまり骨盤の歪みがあると両目の高さが異なり、そのままだと支障がでるため、それを補正しようと無意識に筋肉が働き補正しています。

歪みが強いほど、この働きは強くなる為に疲労しコリは作られます。

張りとコリの複合

張りとは、おおまかな皮膚の張り、コリは部分的な筋肉の収縮です。

痛みの強さは、この張りとコリの両方の影響を受けます。

どちらも筋疲労と血液循環の不良が根本にあります。

ですが、痛みに関しては、コリや張りがあってもさほど痛みを感じない人もいれば痛みを感じやすい人もします。

これらは、心理的な問題、痛みの閾値、脳のエラーなど様々な原因が隠れている事があります。

そして痛みを感じる根本的に痛みを感じやすくなる理由は、一言でいればストレスです。

ストレスは、精神的ストレスだけではなく、病原菌と戦く免疫機能や科学物質の処理、筋疲労も含む、これらに対処する脳の負担を言います。

張りやコリによる痛みをなくすには、できる事を少しづつ減らしていくしかありません。

整体は、それを改善させるひとつの方法です。

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