座骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、特定の病名ではなく腰から下の位置にある部位に痛みやシビレが出る場合の総称です。
また、名称に含まれる座骨神経が圧迫や牽引を受けて炎症や損傷を起こして痛みやシビレが生じているという意味があります。
腰から下の位置には、腰を含めて臀部、大腿(ふともも)、下腿(ふくらはぎ)、足になります。
腰や脚に痛みが生じる疾患はいくつもあります。
腰や脚に痛みが生じる疾患は、コチラ。
総称ですが、病院で検査を受けても、正式な診断名ではなく座骨神経痛と診断されることもあります。
その場合は、病院で行った検査で原因がわからかった為にその診断が下ることもあるようです。
違う病院で検査を受けると正式な診断名がつく可能性もありますが、原因がわからない可能性もあります。
座骨神経痛での症状
腰や下肢に痛みやピリピリしたしびれ、麻痺、歩行困難、座れないなど。
座骨神経とは
坐骨神経(下図)とは、腰から足先まで伸びている神経が束になったもので、人体最大最長です。
成人であれば長さは1mほどで太さは小指の太さほどあります。
膝裏で脛骨神経と総腓骨神経に分岐します。
この神経は梨状筋の下を通ると一般的には言われていますが、人によっては梨状筋の筋線維の中を通る人もおり、その人は梨状筋が硬くなるとその影響をうけやすくなります。
座骨神経の支配
感覚:大腿の裏側や下腿の一部、足の裏。
筋肉:ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)、大内転筋。
座骨神経が支配する筋肉は、上記の筋肉と脛骨神経と総腓骨神経が支配する筋肉でもありますが、座骨神経痛の総称からすると下半身のすべての筋肉とも言えます。
下半身の筋肉は、「腰痛とは?、整体で何を診ているか」で書いています。
座骨神経は脛骨神経と総腓骨神経に分かれるため、それが支配する感覚や筋肉も座骨神経痛の束に含まれます。
脛骨神経支配の筋肉
脛骨神経(図)は仙骨神経叢からの分岐です。
その神経が支配する筋肉は以下のものがあり、膝下の筋肉になります。
足底筋(L4、5、S1)
腓腹筋(L4、5、S1、2)
膝窩筋(L4、5、S1)
ヒラメ筋(L4、5、S1、2)
後脛骨筋(L5、S1、2)
長趾屈筋(L5、S1、2)
長母趾屈筋(L5、S1、2)
短趾屈筋(L5、S1)
母趾外転筋(L5、S1)
短母趾屈筋(L5、S1、2)
第1中様筋(L5、S1)
小趾外転筋(S1、2)
足底方形筋(S1、2)
短小趾屈筋(S1、2)
小趾対立筋(S1、2)
母趾内転筋(S1、2)
底側骨間筋(S1、2)
背側骨間筋(S1、2)
第2,3,4中様筋(S1、2)
総腓骨神経支配の筋肉
総腓骨神経(図)は仙骨神経叢からの分岐です。
それが支配する筋肉は以下のものがあります。
前脛骨筋(L4、5、S1)
長母趾伸筋(L4、5、S1)
長趾伸筋(L4、5、S1)
第三腓骨筋(L4、5、S1)
短母趾伸筋(L4、5、S1)
短趾伸筋(L4、5、S1)
代表的な疾患
腰部から足に痛みやしびれが生じ、病院で検査を受けて診断される代表的な3疾患。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板とは、椎骨(背骨の骨)と椎骨の間にあります。(下図参照)
主な役割は、緩衝材としてクッションの役割があります。
椎骨は、頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)あり、それぞれの間に椎間板はあります。
椎間板について、詳しくコチラ。
椎間板ヘルニアについて、詳しくはコチラ。
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症とは、脊髄神経の通りみちである脊柱管が狭まり、脊髄神経が圧迫を受ける病気です。
以下のことが原因となり、症状として痛みやシビレ、間欠歩行が生じます。
・骨の変形(すべり症、分離症、背骨の変形)
・椎間板ヘルニア
・脊柱管前後の靭帯の肥厚(黄色靭帯、後縦靭帯)
・椎骨の変位(背骨の歪み)
靭帯の肥厚や骨の変形は、加齢による影響が強く、発症年齢は高齢になるほど高くなり、膝や股関節の変形も併発していると生活の質はさらに下がります。
脊柱管狭窄症について、詳しくはコチラ。
梨状筋症候群
坐骨神経は、骨盤からでて足へ向かい、骨盤に付着している梨状筋という筋肉の側や筋線維の間を通ります。
この筋肉に負担がかり硬くなると、座骨神経に負荷がかかり痛みが生じることがあります。
梨状筋症候群の原因は、この筋肉にあり、病院の画像検査でも診断しづらい病気のようです。
病院でいくつかの検査を受けて椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症でもない、理由がわからないという場合、この梨状筋症候群が原因となっている可能性が高いと思われます。
座骨神経痛への整体
座骨神経痛は総称ですので、その原因によって整体での施術は異なります。
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症への整体は、以下のリンク先で書いています。
うるまカイロでの施術は、
・筋肉を緩める。
・椎間板や骨盤の歪みを正す。
梨状筋症候群の原因である梨状筋が硬い場合、それを緩める施術を行ないます。
また、上半身の左回旋が伴うような骨格の歪みが生じている場合、そのような状態だと下半身は右回旋と言えます。
下半身が右回旋だと股関節は外旋し右足先は外側を向きます。
この状態でまっすぐ歩くには右股関節の内旋を過剰に働かす必要があり、梨状筋への負荷は強くなります。
このような骨格の歪みで梨状筋への負荷が強くなっている場合、筋肉を緩めるだけではなく、骨格の歪みの改善も必要になります。
骨格の歪みを改善をしなければ、梨状筋への負荷は強いままです。
骨格の歪みを正し、梨状筋への負荷を減らす必要があります。
筋肉は、画像検査でわかりづらくても、徒手検査での梨状筋の状態を確認することはできます。
徒手検査では以下のことを留意し、圧痛や関節動作(外旋)での疼痛の増減を確認して梨状筋の状態を把握します。
・梨状筋の位置。
・梨状筋の働き。(股関節の内旋)
・筋線維の走行ライン。