椎間板とは
椎間板とは、椎骨(背骨の骨)と椎骨の間にあります。(図1参照)
主な役割は、緩衝材としてクッションの役割があります。
椎骨は、頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)あり、それぞれの間に椎間板はあります。
ただし、後頭骨(頭蓋骨)と頸椎C1の間には、頭部の回旋可動域確保のために椎間板はありません。
構造は、中央に髄核(NP)があり、その周囲を線維輪(AP)が囲っています。(図2参照)
血管や神経は通っていないと言われています。
栄養補給は、椎間板と椎骨の接触面にある軟骨終板から血液成分が染み込むように補給されています。
椎間板は裂傷する事がありますが、修復する事がないため、ケアが大切になってきます。
椎間板に負担がかかり、椎間板内部にある髄核という組織が外に飛び出した状態が椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアは、髄核が移動し線維輪を裂傷させていきます。
髄核
髄核は、椎間板全体の4~5割程度の体積を持っています。
水分含有が70~90%と高く、膨張性があります。
この膨張性によりクッション性がありますが、水分率が高いと線維輪の外側へ圧が強まります。
その影響で線維輪の損傷しやすさに影響し、20~50歳の人がヘルニアになりやすい傾向にあります。
これは人体の水分量が加齢により低下するためです。
髄核と線維輪の水分率の違いにより髄核は線維輪より膨張し、軸として働きます。
ただし、線維輪の破壊により髄核の位置がズレれば運動軸としての機能が低下します。
髄核の変性がなければ椎骨自体の重心軸の位置と髄核の位置は、等しい位置にあります。
ですが、線維輪の破壊により髄核が後方に移動すると、そのズレが生じます。
軸としての髄核
椎骨と髄核の位置関係は、図3のように髄核の上下に椎骨があります。
図3左のように椎骨の重心位置(中心)に髄核があると椎骨の動きはスムーズです。
ですが、図3右のように髄核の位置が椎骨の重心からズレると側屈や回旋に支障をきたします。
また、それを補正する為に主導筋と補助する筋肉への負担も増え、疲労が蓄積しコリが生じやすくなります。
線維輪
線維輪は、コラゲン線維層が重なって構成されています。(図4参照)
水分含有率は60~70%で髄核より硬度があります。
コラゲン線維層の線維の角度は内外で交差しており、ある程度の強度を持っています。
その強度により髄核の脱出防止とクッションの役割も持っています。
椎間板への負荷を強める姿勢やその繰り返しにより、線維輪が破壊されるとクッション性能は低下します。
図5は、線維輪の破壊が進んだ椎間板。
椎間板損傷による猫背
背骨は、椎骨という骨が積み重なっています。(図6参照)
椎間板を除いて椎骨だけの構造を見ると下関節突起の上に上関節突起が載っています。
これは関節突起を支点にやじろべーのような働きに見えます。(図7参照)
骨だけの図7を見ると椎体の重量が大きい為、関節突起を支点にして図7右下のように倒れそうに見えます。
ですが、実際には椎骨の間には椎間板が挟まっている為、倒れにくくなっています。(図8参照)
ですが、線維輪が破壊されると椎間板は次第に薄くなります。
椎間板が薄くなると椎骨が前に倒れそうになります。(図8右下)
そして背筋が伸ばされる筋緊張と、それを戻そうとする筋収縮が働きます。
椎間板が薄くなると立位や座位では背筋の筋緊張や筋収縮が起き、筋疲労になりコリが生じます。
腹圧による補正
このような椎骨の前傾(屈曲)は図9左のように猫背姿勢になりやすい状況です。
猫背になると、図9中央のように無意識にそれを補正しようと背筋が使われます。
また、実際には背筋にだけ負荷がかかる訳ではなく、腹筋群による腹圧で猫背を補正する働きもあります。(図9右)
ですが、人によっては腹筋が弱い、腹筋があっても腹圧を使えていない人もおり、腹圧が弱い人ほど腰の痛みがでやすくなります。
腹圧の記事は、コチラでまとめています。
腰痛の方で病院へ行きレントゲンを撮り、一部の椎間板が薄くなっていた方は、ケアが必要です。
椎間板が薄いと以下のような悪影響があります。
・筋疲労によるコリが生じやすい。
・椎骨の後方変位が起き、ヘルニアが生じやすい。
椎間板の線維輪が破壊されると修復することはなく、ケアを怠ると整体でケアできないほど悪化することもあります。
カイロプラクティック矯正
カイロプラクティック矯正では髄核の位置を正す施術を行ないますが、重症化するほど施術回数が増える傾向にあります。
髄核の位置を正す矯正とは、椎骨の後方変異を正す矯正です。
詳しくは、「カイロプラクティックの矯正」で説明しております。
また、矯正より手術した方が改善が早いことがあります。
手術はリスクが伴いますので、重症にならないような体の使い方やケアをする事が大切です。