関節への負荷のかけ方で筋肉への負荷は異なる。

関節動作と筋肉の負荷

筋肉の働き方は、関節を

①曲げる。②伸ばす。③固定する。

という3つの働きがあり、さらに捻りも加わる事もあります。

例えば、何か荷物を持ってそれを動かす時に、腰の筋肉(背屈筋)を収縮させて荷物を持ち上げ、固定し、下ろすという動作になります。

この3つの動作での筋肉への負荷は同じではありません。

その場合、背屈筋は以下のように働いています。

持ち上げる=収縮。

移動する(固定)=収縮を維持する。

下ろす=収縮させながら伸ばす。

この働きは、それぞれ専門用語で、以下のように呼ばれています。

・コンセントリック(短縮性筋収縮)
・アイソトニックス(等長性筋収縮)
・エキセントリック(伸張性筋収縮)

それぞれ図を使って説明します。

コンセントリック(短縮性収縮)

筋肉が縮みながら、力を発揮する筋収縮を短縮性収縮と言います。

筋肉が伸びた状態から縮む際の働きです。

短縮性収縮は、求心性収縮とも言われます。

腰で言えば、図6のような動作で、腰の筋肉や体幹の背屈筋が働きます。

図6:腰の短縮性収縮
例:肘関節屈曲

腰の筋肉だとわかりずらいので、わかりやすい上腕二頭筋を例に説明します。

短縮性収縮は、肘が伸びた状態から曲げる動作になります。

上腕二頭筋は肘関節を屈曲させる筋肉です。(図7参照)

図7:短縮性収縮

この筋肉は図6のA点とB点に付着しています。

筋肉が収縮するとAとBの距離が縮まり、肘は曲がります。(図8参照)

図8:短縮性収縮と肘関節の働き

アイソトニックス(等長性収縮)

筋肉が長さを変えずに力を発揮する筋収縮を等長性収縮と言います。

等張性筋収縮とも言います。

腰で言えば、図9のような動作で、腰の筋肉や体幹の背屈筋が収縮した状態が維持されます。

図9:等長性収縮
例:肘関節の固定

重いものを持つなど筋肉に負荷がかかっている事が前提です。

肘関節を屈曲したまま状態となります。

図10のように手に重りを持ち肘関節屈曲を維持している状態です。

この状態は、上腕二頭筋が短縮もせず、伸びもしていません。

図10:等長性収縮

エキセントリック(伸張性収縮)

筋肉が収縮し、かつ伸びながら力を発揮する筋収縮を伸張性収縮と言います。

遠心性筋収縮とも言われます。

腰で言えば、図11のような重い荷物を持った状態から床に下す際の動作で、腰の筋肉や体幹の背屈筋が収縮しながら伸ばされます。

図11:腰部の伸張性収縮
例:肘関節の伸展(負荷時)

肘の動きを例にすると、図12のように重りを持って肘を曲げた状態から肘をゆっくり伸ばす際の働きになります。

このような時に筋肉は収縮しつつも伸びていきます。

図12:肘関節の伸張性収縮

負荷の強い筋収縮は?

この3つの筋収縮のタイプで、同じ重さの物を持っているにもかかわらず、筋肉への負荷が強いのは

伸張性収縮(エキセントリック)です。

ギックリ腰を例にすると、重いものを持って下ろす時の動作です。(図13参照)

図13:重い荷物を下ろす時。

また、筋肉への負荷は、

・重量
・動作速度
・複合動作

でも変わります。

複合動作とは、前屈しながら側屈や回旋をするという動きです。

筋肉の働きは、屈曲や伸展の一つだけとは限らず、複数の働きを持っている筋肉もあります。

複合的な動作を持っている筋肉は、疲労蓄積やその他に故障した部位の補償動作があると故障リスクが高まります。

複合動作を持つ腰の筋肉に多裂筋があります。(図14、15参照)

例:多裂筋

多裂筋は、下図のように背骨に付着する筋肉です。

図14:多裂筋
図15:多裂筋(側面)

役割は、体感の伸展(後屈)や回旋と側屈です。

背面から見て右側の多裂筋は、右側屈と左回旋の働きがあり、

左側の多裂筋は、左側屈と右回旋の働きがあります。

左右同時に働くと、上半身を後屈させます。

このような多くの働きを持つ筋肉は、負担がかかりやすく疲労が溜まりやすい筋肉です。

その為、慢性的な疲労から起こっている腰痛では、この筋肉のコリが原因である事が多いです。

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