腹圧が高まるとき
腹圧は以下の時に意識していなくても高めるように働いています。
①排尿、排便、分娩時。
②吸気時。
③動作時。
ですが、この働きは個人差があり、弱い人もいます。
①排尿、排便、分娩時
排尿、排便、分娩時には、腹圧を高める筋肉とそれぞれの臓器(膀胱、直腸、子宮)の筋肉が協調して中のものが押し出されます。
腹圧によって押し出される仕組みは、風船の中の風船に働く圧力と同じです。
言葉だけだとわかりずらいので、図11を見てください。
上図8のようなサポートを受けています。
例:腹膜(水色の風船)、臓器(赤色の風船)とした場合。
物理的に外側の風船に外部から圧迫が加わると内部の風船にも圧迫が加わります。
例えばウンチ
日常的に行う排便で説明します。
便(ウンチ)は、直腸に収まっていますが、ウンチしたい時に肛門を緩めて、お腹に力を入れて腹圧が高まり、直腸に圧力が加わり便が出てきます。
腹部の筋肉が弱い人は、便秘になりやすいというのは、こういう理由です。
また、それぞれの臓器には、括約筋という出口を閉めたり緩めたりする筋肉があり、腹筋に力を入れただけでは中に入っているものはでない仕組みになっています。
なので、ただ腹筋に力を入れただけではウンコはでないので安心してください。
また、尿漏れという症状は、尿道括約筋に異常がでて、その筋肉が緩んだ時に起こります。
話しを戻し、腹膜の上層にある腹筋群が働いて腹膜に圧が加わると臓器の中にも圧が加わります。
膀胱に圧が加われば尿が排出されます。
陣痛が起きて赤ちゃんがでる準備ができた時に、子宮に圧が加われば赤ちゃんが生まれます。
②吸気時
普段なにげに呼吸を行っています。
横隔膜は呼吸で使われますが、人によってはあまり使わずに呼吸をしている場合もあります。
呼吸は大きくわけて腹式呼吸と胸式呼吸にわかれ、それぞれ使われる筋肉は異なるからです。
横隔膜は、この腹式呼吸で使われる筋肉です。
呼吸は、横隔膜だけを使って呼吸をしている訳ではありません。
どのような呼吸が使われているかは、コチラ(上智大学サイト)で詳しく書かれていました。
ここでは腹圧に大きくかかわる横隔膜についてのみ説明します。
横隔膜で行われる呼吸
呼吸は、呼気と吸気に分けられます。
呼気は、息を吐くことです。
息を吐く時には、図9左のように横隔膜が緩みドーム状の形になります。
吸気は、息を吸うことです。
吸気時に横隔膜が働き収縮し、ドーム状から図9右のように平っぺたくなります。
その際に横隔膜が押し下がった分、横隔膜の上部にある肺のスペースが広がるために空気が肺に入ります。
腹圧がかかる仕組みは図8で腹膜に外部から圧力が加わると増加すると説明しました。
つまり、腹圧は吸気時に横隔膜が腹膜に圧力をかけて高まります。
③体を動かした時
この説明をする前に腹圧が高まらない時も話した方が理解しやすいので、先にそれを説明します。
腹圧が高まらないとき
腹圧が高まらない時、つまり腹圧が低い人とも言えます。
そのような人は、図10のように腹膜に外部から力が加わっても、腹膜が伸びて腹膜内部の体積が変わらない人です。
腹圧が高まる要素
つまり、腹圧を高める要素は、2つあります。
①腹膜に外部から圧力が加わる。
②腹膜に外圧が加わった分、腹膜内の体積が小さくなる。
体を動かす時に腹圧が高くなるとは?
つまり、腹圧を高めるためには横隔膜以外の筋肉の役割が必要になってきます。
それは体を動かす時に使われる筋肉がサポートを行っています。
呼吸で使われる横隔膜以外にも、体の筋肉が使われると高まります。
腹圧と関係なさそうな腕や脚を動かす時も、腹圧は高くなります。
なぜなら腕や脚を効率よく動かすために、体幹の筋肉も使われるためです。
体幹とは、腕と足、頭を除いた胴体の部分のことで、臓器や腹膜が収まっている部分です。
腹圧が高まる時には2つの条件が必要でした。
①腹膜に外部から圧力が加わる。
②腹膜に外圧が加わった分、腹膜内の体積が小さくなる。
図10のように外部から腹膜に圧力が加わった分、腹膜伸びると腹圧は高くなりません。
つまり、②の要素として、腹膜周囲にある体幹の筋肉が働いて腹膜が伸びるのを抑え込めると腹圧を高めることができます。
この②の要素がありつつ、横隔膜が使われる呼吸をすることで、腹膜への圧力が逃げずに腹圧は高まります。
さらに、お腹を凹ますように腹筋に力をいれると直接的に腹腔内の容積は小さくなり、さらに腹圧は増します。
うんこを無理やり出したい時には、自然とこのようにお腹を凹ませていますよ。
このような筋肉の働きを利用して、呼吸で腹圧を高めています。