くしゃみによる腰痛
くしゃみで腰に痛みがでたり、ギックリ腰になることがあります。
その理由は2つあります。
・腰方形筋の疲労。
・腰椎ヘルニア。
腰方形筋への疲労の蓄積
腰方形筋とは、骨盤の腸骨稜と腰椎横突起や胸椎12肋骨に付着する筋肉です。(下図参照)
この筋肉の収縮は、以下の働きがあります。
・片側の収縮で上半身の側屈。
・両側の収縮で上半身の伸展(背屈)。
・呼吸補助筋の働きで、息を吐く際に働く。
腰方形筋は、呼吸の補助筋としての働きがあり、息を吐く際にも使用されています。
そのため、何度もクシャミをすると筋疲労が蓄積し、筋肉が硬くなり、腰に痛みを感じることがあります。
さらに、以下の事が重なれば、腰痛の悪化やギックリ腰が発症することがあります。
クシャミで腰痛がでやすい人。
・強いクシャミをする。
・猫背姿勢を日頃している。
・腹圧が弱い。
強いクシャミをする。
強いクシャミであるほど筋肉の収縮が強くなり、腰痛が悪化やギックリ腰が発症するリスクは高くなります。
クシャミの影響を減らすには、できるだけ咳を弱くするように行う事を勧めます。
猫背姿勢が染みついている。
腰方形筋は背屈筋の役割もあり、背屈の逆である屈曲姿勢(猫背姿勢)を日常生活で行っていると、この筋肉に疲労溜まりがちです。
例えば、日常的に行う姿勢に胡坐(あぐら)の姿勢(下図)があります。
このような姿勢は腰が曲がり、背筋の疲労が強くなります。
疲労が溜まり、筋肉が硬くなれば、痛みが生じやすくなります。
腹圧が弱い
腹圧についてはコチラで詳しく説明しています。
腹圧が弱い人は背筋の疲労が強くなります。
腹圧は、体が前に倒れないように支えています。
それはつっかえ棒のような役割を持っています。
腹圧が弱くなることはつっかえ棒を使えないことを意味し、背筋に疲労がたまります。
腰方形筋の筋連結。
腰方形筋の筋連結は、大殿筋、横隔膜、腸肋筋、最長筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋があります。
これらの筋肉の疲労やコリ、弱化は、腰方形筋への負担が増え、ギックリ腰のリスクが高くなります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の損傷が進み、椎間板内の髄核が後方移動し、椎間板の後方が膨らんだ状態をいいます。
ふくらみ(ヘルニア)が強くなると、椎間板が神経を圧迫する事があります。(図右参照)
くしゃみは椎間板の突出を強める。
くしゃみだけが椎間板ヘルニアを強める訳ではありません。
椎間板ヘルニアの生成過程は、コチラで説明しています。
※椎間板への負荷が強くなる動作は、コチラ。
椎間板の突出が強くなる姿勢は、屈曲姿勢です。(右下図参照)
くしゃみをする際は背中を丸めておこないますが、これは屈曲姿勢です。
くしゃみをすると椎間板の突出が強くなり、その際にヘルニアが神経に触れてしまうと腰痛を強めたりギックリ腰が発症することがあります。(下図参照)
くしゃみによる脊髄圧の増加。
くしゃみをすると脊柱管内に圧力が加わります。
これはくしゃみによって腹圧が高まる影響を受けたものです。
脊髄神経は、脊髄液に満たされた脊柱管内にありますが、くしゃみによって脊柱管外からの圧力が脊髄液を伝わり、脊髄神経にも圧力が加わります。
これは、ふくらんだ風船の中にふくらんだ風船を入れた場合、外側の風船を押しつぶすと中の風船が萎む作用と同じ働きです。
椎間板ヘルニアが脊髄神経を圧迫していなければ、問題はないですが、圧迫を受けているとさらに脊髄神経に圧迫が加わり、痛みを誘発させます。