良い姿勢とは
良い姿勢には、立位と座位がありますが、基本は同じです。
また、ここでの悪い姿勢とは、背骨に歪みを与える姿勢をいいます。
悪い姿勢
背骨に歪みを与える姿勢とは、背骨に回旋、側屈、後屈、強めの前屈を与えてしまう姿勢です。
良い姿勢
良い姿勢とは、静止時に極力、背骨に側屈や回旋がない。
そして、適度な生理的湾曲が維持している事です。
生理的湾曲は腰部と頸部には適度な前弯、背部には適度な後湾があります。
解剖学の書籍には、背骨の適度な角度が示されていますが、それを診るには画像診断(X線、MRIなど)が必要で、自己チェックでは知りえない事なので、ここでは省いて書いていきます。
良い姿勢での立ち方
立位での良い姿勢とは、図1左のような姿勢です。
それは、以下のポイントが鉛直線上(地面に対して垂直な線)に並びます。
・耳孔や耳たぶ
・肩の中心
・膝蓋骨後方
・外果前方

この方法でチェックするには、糸の先に重りをつける必要があります。
それを自分自身で確認するには、非常に手間です。
自己チェック
簡易的に自分自身でチェックする方法として、図1右のように壁に背をつける方法があります。
壁に背をつける際に、以下の4つの部分も壁につけていきます。
・かかと
・お尻
・両肩
・頭
背中も含めると5つの部分を壁につけていきますが、猫背が体に染みついていると両肩や頭が壁につけにくいです。
そのように感じた方は、
・肩こり・腰痛が起きやすい。
・呼吸が浅くなりがち。
・ヘルニアや圧迫骨折のリスクが高い。
・自律神経を乱す傾向がある。
など、体に良くない事が起きやすいので気をつける必要があります。
また、腰部の生理的湾曲は、壁に背をつけた時に腰と壁の間に手の平がひとつ入るくらいと言われています。
座位
座る姿勢は、家でくつろぐ場合と勉強や仕事で椅子に座る場合があります。
家でくつろいでいる際の座り方
家でくつろいでいる時の座り方は、いくつかあります。
・あぐらや長座(ちょうざ)
・椅子
・ソファー
・正座
・あひる座り
・横座り
この中で体によい座り方を簡単にできるのは、椅子しかありません。
良い座り方のチェックは、横から見た時に
・耳孔・耳たぶ
・肩の中心
が揃っています。

あぐらや長座
あぐらと言えば、男性が床に座る姿勢を言いますが、その姿勢は両膝が床から離れています。下図)
.gif)
この座り方では、腰椎の前弯を維持することが出来ず後ろに曲がってしまいます。(下図)

長座もあぐらと同じく、腰の前弯をキープする事が困難です。
この姿勢を長年続けていると、腰の前弯がなくなり、まっすぐになったり後湾になってしまい、腰椎ヘルニアのリスクや骨密度が低ければ腰椎圧迫骨折のリスクを高めてしまいます。
ただし、正しいあぐらができれば良い座り方ができますが、それには股関節の柔軟性が求められます。
体に良いあぐら
体に良いあぐらは、耳孔や耳たぶと肩の中心が揃うあぐらです。
私は、柔軟性が低い為にできません。
.jpg)
それを可能にするには、両膝を床につける必要があります。
また、一般的なあぐらは足先をふくらはぎに載せますが、良いあぐらでは載せません。
つまり、両足やふくらはぎ、両膝も床につきます。
この座り方ができれば、腰の前弯が維持しやすくなります。
ただ、難点があり、股関節の柔軟性が必要な事と、腰や脚に障害や痛みがない事が前提です。
痛みがあると、良いあぐらをキープする事が出来ません。
ソファー
当院に来院されるお客さまに、家でのくつろぎ方を聞いていると、ソファーを利用している方は多いです。
ソファーの悪いところは、クッション性が高いがゆえにお尻が膝より落ち込み、猫背を強いられることです。
この話をお客様にすると、
「背中にクッションを当てています。」
と言われる事があります。
背中にクッションを入れることは、猫背を緩和できて良い事ですが、お尻の沈みこみを解消できていない為に腰に後湾が生じ、腰に負担をかけてしまいます。
お金をかけて買ったソファー、残念ですが、背骨には悪い影響を与えてしまいます。
座る時間が5~10分程度であれば、支障はないと思いますが、長時間、長期間それを繰り返すと背骨はその形になじんてしまいます。
正座
家でくつろぐ為に正座する人は、まれだと思いますが、説明します。
正座は、一見体に良さそうですが、ふくらはぎを圧迫し血流を悪くします。

脚がしびれるのは、その為です。
血流が悪いとむくみを誘発させてしまいます。
背筋を伸ばしての正座は、背骨の歪みを抑えきれますが、それを長時間行うことはおススメできません。
長時間同じ座り方をする事で発症する恐れがあるエコノミークラス症候群という病気もあります。
あひる座り
あひる座りは、ぺたんこ座り、女の子座りとも言われています。
.jpg)
正式名は、割座(わりざ)です。
正座と似ていますが、お尻が床につきます。
あひる座りは、下腿に体重が加わらず、ふくらはぎへの圧迫を減らす事ができますが、大腿部に内旋が生じます。
脚の内旋がどのような影響を及ぼしているのか、座位だとわかりずらいですが、立位で行うと一目瞭然です。
大腿の内旋は、両膝間が広がり内股O脚の脚へと歪めていき、膝の損傷リスクを高めてしまいます。
この座り方は、幼少期頃からの癖で行っていると下腿の骨である脛骨が、捻転して変形する恐れもあります。
この場合は、成長するにつれてX脚になる恐れがあります。
もし、お子さんが床でこの座り方をする癖があれば、即やめさせてください。
横座り
人魚のポーズのように、片手を床につく座位です。
言うまでもなく、背骨の側弯や骨盤の歪みに影響します。
.jpg)
仕事や勉強時の座位。
仕事や勉強時の姿勢では、耳孔や耳たぶと肩の中心が揃う座り方ができればよいのです、効率を考えるとその姿勢ができない場合があります。
机の筆記をする際に良い姿勢をしたまま、字を書いたり、読んだりするのは不便な為に姿勢が崩れがちです。
またパソコン作業の場合、ディスプレイの中心が目線より下にあれば、下を向きやすく、それにつられて猫背になってしまいます。
この場合は、ディスプレイの高さを変えればよいのですが、ディスプレイが固定されていればそれは叶いません。
このように解決できないこともあり、症状がでやすい人は整体で定期的な体のケアが必要になることもあります。
立位と座位についてこれまで書きましたが、家でくつろぐ姿勢には臥位があります。
基本、臥位での姿勢は、睡眠以外で行うべきではありません。
その他
その他、家でくつろぐ際の姿勢に
・横向きの姿勢。
・壁やソファーに頭や肩だけを載せた姿勢。
などがありますが、どちらも背骨の生理的湾曲が崩れます。
生理的湾曲とは、適度に頸と腰は前弯し、背中は後湾している状態です。
横向きの姿勢の場合、骨盤と肋骨と床に接触し、腰部は床の方向に凹になります。
壁やソファーに頭や肩だけそ載せた姿勢の場合は、頸椎のストレートや前突という歪みを作りだし、片頭痛や肩こりの原因になります。
よい姿勢を続けるのは、簡単ではない。
タイトルが良い姿勢と書いている割には、悪い姿勢の悪影響について書くことになりました。
腰痛や肩コリがでる理由は、姿勢の悪さが原因となっている事がほとんどです。
お客様に姿勢について話す機会は多いですが、基本的に姿勢を正しつづける事は、普段の生活では難しいのが現状です。
良い姿勢をしたくても、家事や仕事では環境により猫背を強いられ、改善が難しいです。
また、良い姿勢をするには、意識し続ける必要があり、意識し続けるのは困難です。
どうしても体の歪みは作られる為、症状が出るのはほぼ必然です。
その悪影響を減らすには、体に足し算、引き算するしかありません。
整体を利用する、また腹圧を高める呼吸や適度な運動がそれに当たります。
姿勢改善ができない、運動が嫌いという人はなおさらケアが必要になってきます。