慢性腰痛の方は必読:腰椎椎間板ヘルニアの生成

慢性腰痛に長年悩まされている方にとって、「ヘルニア」という言葉はどこか他人事のように聞こえるかもしれません。

「自分はただの腰痛だから」「重いものを持ったわけじゃないから」と、軽く考えていませんか?

しかし、椎間板ヘルニアはある日突然、何もないところから降ってくるものではありません。

実は、あなたが今感じているその慢性的な痛みの背景で、椎間板は静かに、しかし確実に悲鳴を上げています。そして、ヘルニアへのカウントダウンを進めている可能性があるのです。

なぜ慢性腰痛の方にこの記事を「必読」として届けたいのか。

それは、痛みの本当の正体を知り、手遅れになる前にその連鎖を断ち切っていただきたいからです。

あなたの腰の裏側で、今まさに何が起きようとしているのかをお伝えします。

また、ご家族に椎間板ヘルニアと診断された人がいる方や、職業柄、猫背姿勢を強いられる方には、特にお読みいただきたい内容です。

腰椎椎間板ヘルニアの生成

正常な腰部の骨格は、前方に緩やかに湾曲しています(図1左)。

姿勢と背骨の骨格
図1:姿勢と背骨の骨格

椎間板ヘルニアは、日頃から猫背姿勢を繰り返したり、猫背姿勢のまま重い物を持つ動作(図2)を繰り返したりすることで、生成リスクが高くなります。

中腰で物を持つ姿勢。
図2:中腰で物を持つ行為

猫背姿勢による椎間板ヘルニアの形成は、以下の流れで生じます。

① 椎体の後方移動
② 髄核の後方移動
③ 腰椎の可動域減少
④ 椎間板の線維輪が破壊される
⑤ 椎間板突出によりヘルニア形成
⑥ ヘルニアにより脊髄神経が圧迫される

また、猫背姿勢で重いものを持つ際、動作の反復回数が増えたり重量が重くなったりするほど、椎間板への負担が増して線維輪が破壊されやすくなります。

一般的な腰痛には、猫背姿勢や動作不良による「筋疲労からの腰痛」だけでなく、この①〜⑥の過程で生じる痛みが関係していることがあります。その過程を詳しく説明します。

健康的な椎間板

椎間板の基本的な仕組みについては、コチラ(椎間板とは)で詳しく解説しています。

健康的な腰部は下図のように前方に反っており、壁に背中とお尻をつけた際には、腰との間に手のひらがちょうど一枚入るくらいのスペースがあります。

その腰部を拡大したものが(図3左)で、健康な状態では椎間板内の「髄核」は中央付近に位置しています。

背骨の動きと髄核の動き。
図3:背骨の動きと髄核の動き

しかし、猫背になって腰が後ろに曲がると(図3右)、椎間板の前方が押しつぶされ、中の髄核を後方へと押し出す力が加わります。

この動作が繰り返されると、髄核の周囲にある「線維輪」に過度な圧力が加わり、線維輪が徐々に破壊されてしまいます。

なお、加齢による椎間板の経年劣化も、これと同じメカニズムで起こります。

線維輪の破壊

椎間板は、中央にある「髄核」と、それを樹木の年輪のように幾重にも取り囲む「線維輪」で構成されています。

図4は椎間板の断面写真ですが、線維輪が経年劣化している様子が見てとれます。

椎間板内、線維輪の破壊による変性
図4:椎間板の変性(標準整形外科学より)

腰を前方に曲げる(屈曲する)姿勢をとると、椎間板の前方は押しつぶされ、逆に後方が開くような形になります(図5参照)。

腰部屈曲による椎間板の変性
図5:腰部屈曲による椎間板の変性

このとき、髄核を後方へ移動させる力が同時に働き、線維輪へと強い圧力がかかります。

これを何度も繰り返すことで線維輪が破れ、髄核が後方へ飛び出してしまった状態。これこそが「腰椎椎間板ヘルニア」の正体です。

背骨のズレ

慢性的な背骨の歪み(骨格の歪み)は、主に以下の3つの要因が絡み合って形成されます。

・骨自体の変形
・筋肉のバランス不良
・椎間板の変形

椎間板の変形は、筋肉のバランス不良だけでなく、椎体(背骨の骨)自体のズレによっても引き起こされます。

また、背骨が左右に曲がる「側弯(そくわん)」が生じている場合でも、すべての椎体や椎間板が一様に変形しているわけではありません。多くの場合、一部の特定の椎体のズレや椎間板の変形が引き金となっています。

例えば、腰の反りが減少している歪み(図6中央)を例に挙げると、L4以外の椎間板は正常な状態であるにもかかわらず、「L4椎体の後方変位」と「L4椎間板の変性」が原因となって、腰全体の反りが失われてしまっているのです。

腰部前弯減少と椎間板ヘルニア
図6:腰部前弯減少と椎間板ヘルニア

当院の整体では、このように不調の根本原因となっている「特定の骨」を的確に特定するため、「モーションパルペーション」という丁寧な徒手検査(動的触診)を用いています。

原因を突き止めた上で的確に矯正を行うことで、骨格の歪みを根本から改善へと導きます。

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補足(椎間板ヘルニアの形成過程)

椎間板ヘルニアは、日常的な猫背姿勢の繰り返しや、その姿勢のまま重い物を持つなど、椎間板への負荷が強くなる動作によって引き起こされるリスクが格段に高まります。

本来、背骨の正常な骨格には「前弯(前方向への適度なカーブ)」があります(図7、図10①参照)。

腰椎と椎間板
図7:腰椎と椎間板

この理想的な状態では、椎間板の中にある髄核は椎骨(背骨の骨)のほぼ中央に位置しています。

しかし、腰が丸まった猫背(腰椎屈曲)の状態になると、以下のような負荷が加わり始めます(図8、図10②参照)。

・髄核が線維輪の後方に向かって強い圧力を加える
・突出しかけた椎間板により、脊髄神経が軽度に圧迫される

腰椎屈曲と線維輪後方への圧力
図8:腰猫背(腰椎屈曲)と線維輪後方への圧力

この初期段階では、まだ線維輪が「堤防」のような役割を果たしているため、髄核の後方移動をなんとかせき止めています。

しかし、腰を丸めた姿勢のまま重い荷物を持つような動作を何度も繰り返すと、髄核による後方への圧力がさらに強まります。負荷が強くなりダメージが蓄積されると、ついに堤防である線維輪が壊れてしまいます(図9、図10③参照)。

椎間板破壊による椎間板ヘルニア
図9:椎間板破壊による椎間板ヘルニア

線維輪が破壊されると、髄核をせき止める働きが完全に失われます。

その状態でさらに猫背姿勢を続けたり重い荷物を持ったりすると、髄核がさらに後方へ移動し、腰椎椎間板が外へと突出してヘルニアが本格的に形成されていきます。

線維輪は何層もの頑丈な組織でできていますが、その層が深く破壊されればされるほど、ヘルニアの突出も大きくなりやすくなります。

また、この段階では椎間板後方の重さに耐える能力(耐荷重能力)も著しく低下しているため、椎間板の後方がつぶれる原因にもなります(図10③)。

椎間板ヘルニア生成過程
図10:椎間板ヘルニアの形成過程

腰椎の可動域減少

椎間板の中心にある髄核には、上下に連なる椎体(背骨の骨)のバランスをうまく保つクッションのような役割があります。

そのため、髄核が後方にズレてしまうと、その上にある椎体のバランスまで一緒に崩れてしまいます。

加齢によって椎間板が経年劣化した方や、すでに椎間板ヘルニアを発症している方の多くが、背骨の関節可動域(動かせる範囲)が減少してしまうのはこのためです。

髄核の詳しい役割については、椎間板の解説ページでも詳しく説明しています。

椎間板ヘルニアへの施術

当院における腰椎椎間板ヘルニアへの具体的な整体アプローチについては、コチラのページで詳しく説明しています。

まとめ

ここまで読んでいただけたあなたなら、もうお分かりのはずです。

慢性腰痛は、決して単なる「筋肉が疲れているだけのサイン」ではありません。

腰を丸める猫背姿勢をとるたびに、あなたの椎間板には、自覚のないままダメージが少しずつ蓄積されています。

椎間板ヘルニアはある日突然なるものではなく、毎日の「猫背姿勢」というあなた自身の生活習慣が、長い時間をかけて引き起こしてしまうものなのです。

しかし、裏を返せば、今日から正しい姿勢を心がけることで、その悪化へのカウントダウンを確実に遅らせる(または止める)ことができるということです。

「いつも腰を丸めて椅子に座っていないか?」
「床のものを拾うとき、背中だけで曲げていないか?」

まずは日々の生活の中でその事実に「気づくこと」こそが、あなたの腰をヘルニアの恐怖から守る大切な第一歩になります。

手遅れになって激痛に悩まされる前に、今この瞬間から、背筋をスッと伸ばす良い習慣を始めていきましょう。

すでに病院で椎間板ヘルニアと診断されている方にとっても、これ以上の悪化を防ぐための極めて重要な予防策になります。

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