サブラクセーション(カイロプラクティック)

カイロプラクティックでのサブラクセーションとは、椎骨の動きが減少することを言います。

整形外科で言われるサブラクセーションとは、意味が異なります。

整形でのサブラクセーションは、脱臼を言います。

カイロプラクティックは、アメリカから伝わった技術であるために、言葉の意味が違っています。

椎骨の動きが減少する理由。

サブラクセーション(椎骨の動きが悪くる)ができる理由は以下の理由があります。

・椎間板の劣化や髄核の移動。
・炎症修復過程での癒着。

椎間板の劣化や髄核の移動。

張りを保っている椎間板は下図(左)のような状態ですが、劣化すると下図(右)のように潰れます。

こうなると椎間板の柔軟性が低くなり、椎骨の動きが低下してしまいます。

椎間板の劣化によるサブラクセーション
図:標準整形外科学より

生活習慣の不良で髄核が移動を繰り返すと下図右のように線維輪を破壊することがあり、それにより椎間板は劣化し、上半身の重みに耐えきれずさらに薄くなりやすくなります。

椎間板の劣化については、コチラのページのに書いています。

髄核の移動によるサブラクセーション

生活習慣の不良で姿勢が悪くなると椎間板内の髄核は移動することがあります。

例えば、腰の骨を例にすると

下図左のように椎間板内の髄核は椎体の中央付近にあります。

ですが、腰が後ろに曲がる姿勢をとると下図中央のように椎間板内の髄核は後方(背中側)へ移動することがあります。

そうなると、軸の役割をしている髄核の機能が失われてしまいます。

髄核の位置が下図右下のようになると、前方(お腹側)では椎体の骨が近くなり前屈しにくい状態になります。

また、髄核に水分が十分だと膨張圧が働き硬いために後屈(背屈)もしにくくなります。

炎症修復過程によるサブラクセーション。

なんらかの理由で椎骨周囲に付着する筋肉や関節包、靭帯が損傷すると炎症が起こります。

その炎症が修復する過程で、損傷した組織と周辺にある組織の膜が癒着することがあります。

また炎症が起こった組織は、硬くなり柔軟性にかけています。

この癒着と拘縮により関節の動きが悪くなり、サブラクセーションが起ります。

サブラクセーションが起こる根本原因。

サブラクセーションが作られる原因は、根本原因は、主に3つ考えられます。

・外傷
・姿勢不良
・先天性の関節変形

外傷でサブラクセーションが起る原因は、先ほど書いたように炎症修復過程での癒着です。

外傷や姿勢不良についてはコチラをお読みください。

補足:書籍別サブラクセーションの説明。

著書:カイロプラクティック総覧

サブラクセーションとは、

①隣接関節構造の正常な動力学的、解剖学的あるいは神経生理学的関係の変調。

②機能的あるいは病理学的な状態を生む、2つの隣接した関節構造の異常な位置関係。

こられの関節構造や、直接あるいは関節に影響を受けることもある身体全体の生体力学的、神経生理学的反射に変調が生じる。

(カイロプラクティックテクニック総覧より)

書籍:カイロプラクティック概論

サブラクセーションは、繰り返して起こる小さな事による累積的な作用からも、あるいは、たった1回の事によるものでも、脊柱への外傷は、椎間板の解剖学的構造に損傷を与え、神経機能不全に至る一巡の経過の発端となる。

この過程は、次に示す。

1.外傷は、椎骨を変位させ、支持される位置へ移動させる。
2.椎体の移動は、椎間板を圧縮し、髄核に圧をかける。髄技は水分が多くて圧縮しないので、線維輪の方に力が加わる。
3.線維輪は、膨張した髄核により、その弾性限度を超えて仲長される。そしてその結果、線維は損傷するか乱れる。
4.組織の損傷は、炎症性の反応を誘発する。細胞内の浮腫性の液が、椎間板にたまり、膨張と突出を生じる。
5.椎間板の突出は、脊柱管または椎間孔の神経組織を圧迫する。
6.神経圧迫は、神経機能不全を起こす。

書籍:ガンステッドカイロプラクティック 科学&芸術

椎骨がサブラクセイションを起こすと、いくつかの要因が作用して、椎間板上の椎骨の動きを減少させる。

サブラクセイションがあると、髄核は、椎間板の周囲の方に変位するので髄核の軸としての作用が失われる。

これだけで動きの範囲が減少するが、特に髄核の変位した方向への動きの範囲が減少する。

つまり、髄核が左に動くならば、左側への側屈はその特定の椎骨のために減少する。

加えて、浮腫液が椎間板に浸潤して、椎骨の動きを減少する。

この点に関して、その液体は障害のある関節がさらに変位するのを防ぐ安定機構と考えてよい。

その椎間板は、細胞内浮腫により硬くなり膨満する。

動きがなくなるもう一つの要因は、癒着である。

サブラクセイションがより慢性になると、癒着も進む。

癒着は、隆起や溝を作る脱水、収縮した組織の部位と考えてよい。

これらが一緒になって、椎体の動きを減少させる。

サブラクセイションしている椎骨すべてがその正常な動きを失っている。

これを固定していると考え、固定した椎骨とその下にある椎骨との間の動きが減少した部位をフィクセイションと考える。

変位がレントゲン写真上、下の椎骨と最適な関係にない椎骨すべてと考えるならば、どの患者の脊柱にも、多くの変位が存在する。

しかし変位した椎骨すべてが、サブラクセイションの椎骨ではない。

おそらく実際には、サブラクセイションはほとんどない。

椎骨が、サブラクセイションによって変位していると、脊柱全体の構造がある程度影響を受ける。

椎間板のくさび形は、上の椎骨の椎体の方向を変え、正常な垂直な位置から逸脱する。 

しかし、この変位は脊柱全体に連続して起こらない。 

というのは、平衡が失われ、体重のバランスがとれないからである。

サブラクセイションの反対方向に変位することによって、1つまたはそれ以上の椎骨はバランスと平衡の喪失を補正しなければならない。

この変位が、カンパンセイションのメカニズムであり、脊柱に正常なバランスを取り戻そうとする働きである。

どこかほかのサブラクセイションのために変位している椎骨がカンパンセイションと考えられる。

カンパンセイションの椎骨は、フイクセイションでもサブラクセイションでもない。

つまり、髄核が完全な状態であり、炎症による椎間板の膨隆もまったくないので自由に動く。

したがって、神経圧迫がまったくない。               
 
過可動性のある椎骨が、過度の動きを示すように、カンパンセイションの椎骨は、過度な変位を示す。

最も変位した椎骨を整復しようとするならば、その椎骨は、カンパンセイションであり、それを「アジャスト」しても、構造的にも症状においても、何ら変化は生じない。

というのぱ、カンパンセイションは自由に動くし、サブラクセイションを起こしていないし、正常な機能を果たしているからである。 

自由に動けば、患者の姿勢の変化に対し、カンバンセイションは順応できるので、変位の方向がレントゲンの撮影方法によって変化するのである。

脊柱でカンパンセイションが起こる場所とサブラクセイションにより生じるカンパンセイションの椎骨の数は、サブラクセイションの起こる場所と、サブラクセイションの変化の方向と、患者の体重配分と先天的奇形といった要因に左右されるのである。

これら多くの変化する要素のために、カンパンセイションはほとんどないかもしれないし、あるいは、多いかもしれない。

レントゲンフイルムで、サブラクセイションのように変位していても、フイルムは椎骨が神経圧迫を起こしているのを示してくれないので、レントゲンをどの変位がサブラクセイションであるかを識別するのに使用できない。
つまり、サブラクセイションはフイルムからは判断できないのである。

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