抹消神経圧迫による牽引。
抹消神経圧迫は、動作時に脊髄神経や神経根の牽引を強めます。
抹消神経は、脊柱管内の脊髄神経から分岐し器官(臓器や筋肉、皮膚など)に向かう神経の総称です。
脊髄神経や神経根(抹消神経の根元)に異常がなければ、この牽引は問題にはなりません。
ですが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などにより脊髄神経や神経根が圧迫された状態だと、抹消神経が牽引されると脊髄神経や神経根の圧迫部位への牽引が強くなり、症状を辛くさせてしまいます。
わかりずらいと思いますので、図を用いて説明します。
抹消神経
抹消神経(下図黄色)は脊髄神経から分岐し器官(臓器や筋肉、皮膚など)に向かいます。
この抹消神経は、主に筋肉の間を通っています。
その通り路にある筋肉が硬くなると抹消神経は圧迫されます。
例:座骨神経
例えば座骨神経(下図)は、ハムストリングスや梨状筋などの筋肉と接しています。
これらの筋肉が硬くなれば、座骨神経は圧迫されます。
硬くなる要因は、以下のものがあります。
・関節動作時の筋収縮
・筋疲労によるコリ
・痛みによる防御性収縮
防御性収縮については、コチラで書いています。
神経が圧迫されると、脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアで圧迫を受けている神経の部分への牽引が動作時に強くなります。
例:座骨神経の牽引(ゴム)
座骨神経は、太ももの裏にある神経です(写真1)
股関節が屈曲すると座骨神経は牽引されます。(写真2下)
さらに膝が伸びている状態での股関節屈曲により、座骨神経は伸長されます。
このような作用を利用した徒手検査がSLR(Straight Leg Test)検査です。
SLR検査は、座骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニアを診断する際の判断材料としてよく用いられています。
脊柱管狭窄症やヘルニアでは座骨神経の根元が圧迫を受けており、股関節が屈曲するとその圧迫部分が牽引されます。
それに加えて座骨神経が筋肉のコリにより圧迫を受けると、根本の神経圧迫部位はさらに牽引が強くなります。(写真3)
動作時の牽引を強める要素は、以下のものがあります。
・神経への圧迫が強い。
・圧迫数が多い。
神経への圧迫が強い。
神経への圧迫が強くなるほど神経は牽引しずらくなります。
例えば、地面に置かれたロープを引く際に、そのロープの上に人が載っているとロープは引っ張りづらくなります。(下図参照)
その引っ張りづらさはロープの上に載っている人の体重が増えるほど引っ張りにくくなり、ロープへの負荷は強くなります。
つまり、神経(ロープ)への圧迫が強くなるほど、動作時に脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアによる神経圧迫部位に牽引が強くなり負荷をかけ、それが蓄積すると痛みや痺れなどの症状も強くなります。
神経の圧迫数
ロープの引っ張りづらさは、圧迫されている数が多いほど引きずらくなります。
例えば、ロープの上に60kgの人が一人乗っている場合と同体重の人が3人乗っている場合では後者の方がロープが引っ張りづらくなります。(下図参照)
座骨神経は、多くの筋肉と接しています。
それは大腿だけではなく下腿の筋肉も含み、多くの筋肉が接しており、それらの筋肉が凝り固まっている数が多いほど、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアによる圧迫部位への負担は大きくなり、症状悪化に繋がります。
おまけ:神経の圧迫範囲
ロープ(神経)の引っ張りづらさと圧迫範囲は関係がない。
例えばロープの上に人が立っている場合と寝そべっている場合では、寝そべってロープと体の密着範囲が広い場合では、ロープの引きづらさは変らない。
ひとつの筋肉上でのコリや全体的な張りは、それぞれ点と面になりますが、点と面による違いはなく、圧迫の強さの総合値だけが影響します。
〇物理のクーロンの法則:「摩擦力は見掛けの面積によらない」
物体の面積が大きくなっても、荷重が同じである限り摩擦力は変わりません。
例:座骨神経の牽引(歩行時)
歩行時の動作では、遊脚足が地面に接した瞬間にハムストリングへの負荷が強くなります。
この瞬間は、ハムストリングに伸張と収縮が同時にかかります。
歩行は、これを何度も繰り返すため、歩行を続けるほど脊柱管狭窄症などで圧迫を受けている部分が何度も牽引されるため、痛みが生じやすくなります。
脊柱管狭窄症の症状で間欠跛行があります。
間欠跛行とは、一定時間や一定距離を歩くと痛みや痺れが生じ、それにより歩きにくくなりますが、休憩すると歩けるようになり、これを繰り返す症状です。
施術
このような状態への整体は得意と施術です。
圧迫を受けた神経から分岐した抹消神経のルート上に筋肉を緩めればいいわけです。
当院では、多圧法、カイロプラクティック矯正をメインに筋肉を緩めています。
自分自身でできること
自分自身でおこなう方法としては、以下のものがあります。
・入浴。
・ストレッチ。
・ストレス解消。
・筋疲労を溜めすぎない。
・適度な運動。
これらを継続していく事が大切です。