骨盤の開き(仙骨の落下)

仙骨落下による寛骨の広がり

仙骨は、骨盤のパーツのひとつで寛骨の間に挟まっており、骨盤は仙骨と寛骨からなります。

背骨は、仙骨の上に載っており、仙骨には上半身の重さ加わりやすい構造をしています。(図14、15参照)

図14:骨盤の開きと仙骨の楔による影響。
図15:骨盤の開きと仙骨の楔による影響②。

この骨格を見みると上半身の重みで寛骨の間から仙骨が下に落ちてしまいそうです。(図14右下参考)

ですが実際は、仙骨と寛骨の動きを制限する靭帯と骨盤に付着する筋肉が働いて、仙骨の落ち込みを防いでいます。(図16参照)

図16:寛骨と仙骨の動きを制限する骨盤の靭帯。

またそれは筋肉の弱化や靭帯が緩めば仙骨は下に落ちやすくなると言えます。

骨盤の靭帯が緩む理由は、コチラの記事で書いています。

仙骨の落下を防ぐ筋肉

仙骨の落下を防ぐ筋肉として働く筋肉は、以下の2パターンが考えられます。

・仙骨を両側の寛骨で圧迫する筋肉。
・仙骨を頭方に引き上げる筋肉。

仙骨の両側を圧迫する筋肉

仙骨を両側から圧迫し仙骨の落下を防げる筋肉は2つあります。

梨状筋と大殿筋です。

これらの筋肉は、仙骨と大腿骨の大転子(太ももの骨)に付着する筋肉です。

仙骨と大腿骨の間には、寛骨があり、これらの筋肉が収縮する事で寛骨の両側から圧迫を加え仙骨の落下を防止できる筋肉です。

梨状筋

梨状筋は、主に股関節の外旋時に働く筋肉ですが、股関節が屈曲している時は股関節の外転の働きもあります。

その梨状筋が付着する場所は、仙骨前面と大腿骨の大転子です。(図17参照)

梨状筋の位置
図17:梨状筋

大転子は、股関節の横にある大腿骨の飛び出た部分です。(図8参照)

仙骨と大転子の間には、寛骨があり、梨状筋が収縮する事で仙骨の落ち込みを防止できる筋肉です。

補足ですが、この梨状筋の筋線維の間から座骨神経(図18参照)が通過する人がいます。

座骨神経の位置
図18:座骨神経

この筋肉が疲労で硬くなると座骨神経を圧迫し、臀部や下肢の痛みやしびれが出やすくなります。

運動不足の方や高齢の方に多いですが筋肉が細くなれば筋疲労しやすくなり、このような症状がでやすくなります。

整体は、骨格を正すだけではなく、筋肉の疲労も改善させることができる施術です。

大殿筋

大殿筋は主に股関節の伸展と外転で働く筋肉です。(図19参照)

大殿筋の位置
図19:大殿筋

付着部位は、寛骨、仙骨、大転子です。

梨状筋と同じく寛骨の両側から圧迫を加え仙骨の落下を防ぐことが出来る筋肉です。

大殿筋は、梨状筋よりも大きく力強い筋肉です。

また、歩行時にはこの筋肉の働きで股関節を伸展させて、体を前に進ませる事ができます。

補足ですが、この筋肉が弱化すると伸展角度が減り、その代償を腰椎の後屈や骨盤の前傾で補うことになります。

整体で腰が痛いという人は、股関節の伸展機能の低下している人がとても多いです。

腰痛と関係する筋肉は、コチラで説明しています。

広背筋

広背筋という筋肉は、上腕骨と仙骨、寛骨、背骨などに付着する筋肉です。

働きは、腕の伸展、内転、内旋です。

広背筋は、綱引きや懸垂をするような腕を後ろに引く動作で働く筋肉です。

この筋肉は仙骨に付着する部分があるので仙骨の落下を防ぐ筋肉として働くようにも思えます。

そのようなトレーニングをすると多少効果があるかもしれません。

仙骨に付着する筋肉

仙骨に付着する筋肉に腰腸肋筋、胸最長筋、多裂筋があります。(図20、21、22、23参照)

脊柱起立筋の位置
図20:脊柱起立筋
多裂筋の位置
図21:多裂筋

これらの筋線維の走行ラインは骨盤や腰部では垂直方向に走っており、収縮することで仙骨を頭方向に向けて引き上げる効果があると考えられます。

図22:脊柱起立筋(腰部)
図23:多裂筋(腰部)

脊柱起立筋と多裂筋は、立位や座位での姿勢維持に働く筋肉です。

普段の生活で活動的に動いていれば使用される筋肉ですが、座椅子やソファーに背中を預けるような姿勢だと働きが弱くなります。

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