頸椎C1のズレによる体調不良

頸椎C1のズレによる体調不良

頸椎C1のズレによる体調不良とは、神経圧迫によるものと筋肉疲労によるものがあります。

※ここでのズレとは、カイロプラクティックでのサブラクセーションを言います。

怪我を除き、体調不良の原因は、姿勢不良やストレスにより筋肉疲労が起こり、この疲労によって筋肉が硬くなり、筋肉が骨を引っ張り骨をズレさせます。

その骨のズレで神経が圧迫されると神経が受け持つ器官に異常がでることがあります。

C1アトラスの役割

C1アトラスの主な役割は、回旋の動きです。

そのC1の位置は、頭蓋骨の下にあります。(図1)

首の骨は全部で7つあり、C1は一番上の骨になります。

図1:C1アトラスの位置は、頭蓋骨とC2の間にあります。
図1:C1アトラスの位置

また、この部分は脳と近いことから、ズレると他の背骨と比べて多くの症状が発症する可能性があります。

C1(アトラス) 

C1(図2)は、他の背骨と比べて、横突起が大きく、横に長い構造になっています。

図3では、C2よりC1の横幅が長い事がわかります。

図2:C1アトラスの形は、横に長くなっています。
図2:C1アトラス

この骨の特徴は、首の回旋角度にあります。

図3のようにC1は、C2の上にありますが、C2の歯突起がC1の歯突起窩(図2)に収まり、回旋の安定を高めて他の頸椎よりも大きく回旋できます。

図3:C1とC2の関節において、C2歯突起はC1椎孔内に収まります。
図3:C1-C2

C1は、この構造から他の頸椎の回旋角度3~7度に対して、40度もあります。

その為、この骨が回旋サブラクセーションを起こすと横に長い横突起が、周囲の組織に圧迫を与えてしまいます。

※サブラクセーションとは、カイロプラクティックでは骨がズレて動きが少なくなった骨のことを言います。

※カイロと整形外科のもつサブラクセーションの意味あいは異なります。

サブラクセーションについては、コチラ

顔を右や左に向けた際に、片側だけ角度が少ない場合には、C1サブラクセーションの可能性があります。

※サブラクセーションがあるからといって、神経を圧迫し症状が必ずでるわけではありません。

頸椎C1のズレによる体調不良①、②、③

頸椎C1のズレによる体調不良①:脊柱管狭窄

C1のズレ(サブラクセーション)に限った話ではありませんが、骨格が歪めば脊柱管を狭めてしまい、脊柱管狭窄症による症状悪化に繋がります。

脊柱管内の狭窄

図4は、C2の上にC1を載せて上から見た状態で、中央の穴は脊髄神経が通ります。

図4:C1とC2関節での脊柱管。
図4:C1とC2の脊柱管

通常、背骨は骨の構造上、後方にズレますが、C1のみ前方にズレます。

C2の歯突起がC1の骨に接触し後方にはズレません。

そして、前方変位(図5)や回旋変位(図6)などの背骨のズレが大きくなると脊柱管は狭めてしまいます。

図5:C2上でのC1の前方変位。
図5:C1前方変位
図6:C2上でのC1回旋変位。
図6:C1回旋変位

脊柱管狭窄症という病気がありますが、これは骨の変形や厚くなった靭帯が脊柱菅を狭めてしまうものです。

脊柱菅の中には、後縦靭帯と黄色靭帯があり、図7の赤線は後縦靭帯の位置になります。

脊柱菅狭窄症と骨格の歪みが同時におこると脊柱管をより狭めます。図7

図7:C1前方変位と後縦靭帯硬化症による脊柱管狭窄。
図7:C1前方変位と脊柱管狭窄

ここではC1-C2の歪みを説明しましたが、背骨(図8)は頸、胸、腰それぞれ7,12、5個の骨があり、歪みの数が増えればそれだけ脊髄神経を圧迫するリスクは増えてしまいます。

図8:背骨の側面画像。
図8:背骨

頸椎C1のズレによる体調不良②:横突起での神経圧迫

C1の横突起は横に長い為に、回旋サブラクセーションの角度が大きいと神経への圧迫も増していきます。

C1横突起周囲の神経は、以下のものがあります。

・迷走神経
・舌下神経
・上頸神経節

迷走神経の支配

迷走神経の支配は、副交感神経での役割があり以下のものを支配しています。(図9中CN X)

・外耳道、咽頭、食道の感覚
・嚥下や発生や呼吸の運動
・心臓、胃、腸の副交感神経

舌下神経の支配

舌下神経は、主に舌の運動の働きを支配しています。

上頸神経節の支配

上頸神経節(図9赤線)の位置は、書籍によりC2-C3周囲、またはC1-C2の周囲と書かれている本があり、個人の体質により変わるものだと思われます。

その役割は、交感神経として以下の役割があります。

・目
・涙腺
・鼻粘膜
・口腔辺膜
・耳下腺
・舌下腺
・顎下腺

図9:自律神経と脊髄神経の支配領域。
図9:自律神経系の副交感神経部と交感神経部(ムーア臨床解剖学) 

また、この神経に障害が起きるとホルネル症候群と呼ばれる病気になり、いくつかの症状が出ることがあります。

ホルネル症候群

ホルネル症候群とは、上頸神経節または上位神経幹が障害を受けると、その交感神経線維が支配する領域に麻痺がおこる病気です。

麻痺がおこる症状には、以下のものがあります。

・縮瞳:瞳孔散大筋の麻痺
・眼瞼下垂:瞼板筋の麻痺
・眼球の陥没
※参考:解剖学講義

また、発汗の減少や充血がおこる事もあるようです。

詳しくはコチラ(外部リンク:家庭版MSDマニュアル)

症状の確定は病院で

C1のズレにより圧迫を受ける恐れのある神経のことを書きましたが、これらの症状をお持ちの方がC1の歪みから症状が出ているかどうかを正確に検査する方法は整体にはありません。

病院での検査法としては、CTやMRI検査があります。

ですが、病院で検査を受けてもこのような症状の原因がわからない事もあるようです。

これらの症状に対して、徒手療法での施術は、病院で検査や治療を受けて改善が見られない場合に利用することを薦めます。

また、整体を受ければ良くなると言えるものではありません。

当院での施術は、人が元々持つ回復力が骨格の歪みやストレスで減少したものを改善に向かわせる為に行うものです。

頸椎C1のズレによる体調不良③:肩こり・首こり・緊張型頭痛・めまい

頸椎C1に限った話ではありませんが、骨格が歪むと脳は歪みを補正する為に筋肉が働きます。

頸の骨格には、首はもちろん肩に付着する筋肉もあり、補正する為にその筋肉が働きつづければ疲労が重なり痛みとして表れて、肩こりや首こりになります。

また、緊張型頭痛は頭蓋骨やC1に付着する筋肉が硬くなる事で血行不良で起こる頭痛です。

緊張型頭痛と片頭痛は、似ている事がありますが、原因は異なります。

慢性頭痛については、コチラ(当院別サイト)。

そして、めまいが起こる理由のひとつに平衡感覚の狂いがあり、その要素がいくつかあります。

その要素の中に体の歪みや脊柱管狭窄も関わっています。

めまいについては、コチラ(当院別サイト)。

C1がズレる原因

C1がズレる原因には

・筋肉の疲労
・損傷
・C1神経が受け持つ支配領域の異常

があります。

これらの要因として

・姿勢不良
・ストレス
・首の怪我

があります。

姿勢不良

猫背や前突の姿勢不良によりC1(アトラス)に付着する筋肉(図10、図11)が酷使されると、その筋肉は疲労し硬くなります。

硬くなってしまった筋肉がC1を引っ張り、骨の位置をズレさせます。

C1に付着する筋肉

・肩甲挙筋
・頸板状筋
・大後頭直筋
・小後頭直筋
・上頭斜筋
・下頭斜筋
・頸棘間筋
・外側頭直筋
・前頭直筋
・頸前横突間筋
・頸後横突間筋

図10:C1に付着する筋肉。
図10:C1(アトラス)に付着する筋肉
図11:C1に付着する筋肉(側面)
図11:C1(アトラス)に付着する筋肉(側面)

猫背になると、体より前に頭が移動しますが、そうなると頸板状筋と肩甲挙筋に負担が大きくかかります。

ここではC1に焦点を当てていますが、実際にはその他に脊柱起立筋、僧帽筋などにも負荷がかかっています。

また、筋肉の栄養や老廃物を促す血管は、筋肉の間を通る為に筋肉が硬くなれば血管を圧迫し、栄養やろ廃物の運搬がままならず、筋肉が硬くなるという負のループに陥りやすくなります。

また、骨がズレれば神経を圧迫することもあります。

ストレス

ストレスは、精神的なものだけではなく、体に病原菌が入ってきた時のウイルスの処理など生命時の為に脳が行っていることもストレスに含まれます。

このように色々な種類のストレスがありますが、骨格の歪みに大きく影響するものは精神的ストレスです。

日頃行っている姿勢は、感情によって影響を受けています。

気持ちが落ち込めば地面を向き、猫背になります。

また、イライラする事や頑張るぞ!

という気持ちの時には体に力が入り、筋肉が収縮します。

それが長時間続くと、筋肉が疲労し固くなり、筋肉が付着する骨を引っ張りズレさせてしまいます。

緊張している時には、肩をすくめてしまうので

「肩の力を抜け」

と言われるのは、そういう所以です。

首の筋肉の怪我

首の筋肉の怪我と言えば、交通事故があります。

シートベルトをしていなければ頭をどこかに打ちつけ、それにより首も傷めてしまいます。

また、シートベルトをしていたとしても、頭は固定されていない為に強い衝撃により頭が揺さぶられ、それと同時に首の筋肉や骨にダメージが入ることもあります。

このような事故を経験したことがある方は、事故後に首のケアが不足していると何年経っても首に違和感を抱えてしまう事が多いです。

怪我ではありませんが、寝違いもあります。

寝違いは、主に顔が長時間、同じ向きをしている時に起きます。

例えば、うつ伏せで顔を右だけ向けていると、筋肉がストレッチされ続けます。

筋肉がストレッチされている間は筋肉はつっぱり硬くなる為に筋肉の間を通る血管を押しつぶしてしまい血液の循環不良が起こります。

それが長時間続くと筋肉が疲労し硬さが抜けなくなる為に、朝起きた時に顔を横に向ける事が辛くなります。

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